令和6年3月の定例会では、災害に強いまちづくりや教育施策、地域経済支援がテーマとして取り上げられた。宇治市は新型コロナウイルスや能登半島地震を受け、自らの施策を見直し、地域の安全・安心を確保するための新たな取り組みを明らかにした。
最初に、市長は3年間の市政運営の振り返りを行った。松村市長は、「安心・躍動・再スタート」の理念のもと、コロナ禍の対応から第6次総合計画への取り組みまで進められてきたと述べた。特に、コロナ対策に関しては迅速に補正予算を実施し、市民生活に配慮した施策が進められたとのことだ。
次に、地域防災計画については、能登半島地震を受けてさらに具体的な対策が求められることが指摘された。宇治市の防災計画の見直しについては、地震の影響を考慮し、新たなデータに基づく検討が必要であると指摘された。議員は、液状化の懸念がある地域での震度計設置を提案した。
続いて、消防の広域化問題についても言及された。消防職員の増員は進めず、広域化に対してリスクが高いとする意見が出された。市長は現状における消防体制の充実を図るとのこと。
水道の広域化についても、自給自足の水源を保有することが重要であり、能登地震の影響を考えると広域化の方針に疑問を呈する意見が多く挙がった。市の戦略として、地下水の利用拡大を提案した議員もいた。
次に、地域経済支援について、宇治市が行うべき施策として、住宅リフォーム助成制度の導入を強く求める声があった。全国的に普及しているこの制度は、地域経済の活性化を促進する効果が期待でき、多くの自治体が取り入れつつある。
また、子育て支援についても議論が交わされた。統計では宇治市の18歳までの医療費助成制度は周辺市町に比べて遅れをとっており、その拡充が求められた。また、学校給食費の無償化や生理用品のトイレへの配備も注目すべき課題として提起された。
教育長に対しては、インクルーシブ教育の推進が求められ、多様な学びの場を整備することが必要であるとの見解が示された。教員不足についても、労働環境の改善に向けた具体的な方策を示すよう要望されている。
最後に、地域に根差した観光業の振興についても言及された。特に、ニンテンドーミュージアムの開館による地域活性化の波及効果が問われた。また、南宇治エリアの活性化および交通アクセスの改善を求める意見も多い。
これらの議論から、今後の宇治市は市民の声に耳を傾け、持続可能な地域づくりに向けて多角的に取り組むべきであるとの結論が導き出された。市政運営の透明性を高め、市民が共に地域発展に向かう姿勢が求められている。