令和2年12月、宇土市議会の定例会が開催され、様々なテーマについて質問が行われた。
特に注目されたのは、行政手続きのデジタル化に関する議論である。公明党の芥川幸子議員は、政府が進めるデジタル庁の創設や行政手続のオンライン化について触れ、特に新型コロナウイルス感染症の影響で露呈した問題を指摘した。彼女は、オンライン申請を広げるべきだと述べ、現在の状況では全国平均でオンライン申請が可能な手続きは約7%に留まっていると説明した。この動きに対し、企画部長である石本尚志氏は、すでに「マイナポータルぴったりサービス」を活用し、15の子育て関連手続きを提供していると報告した。
そのほかに、行政手続きにおける押印廃止と書面主義の見直しも強調された。杉本裕治総務部長は、国が進める押印廃止の流れを受け、本市でもその準備を進めており、今後は必要な手続きの見直しに取り組むことを述べた。
午後のセッションでは、藤井慶峰議員が第八代横綱不知火諾右衛門の墓碑公園の整備について質問した。彼は、地元奉賛会が墓碑周辺の環境を整備したことを評価し、地域の歴史的価値を大切にするための公園整備を市に求めた。元松茂樹市長は、地元の努力を称賛し、今後も地域活動を支援していくと述べた。
また、生活の安全安心についても議論が展開された。野口修一議員は、市が委託している交通指導員や生活安全パトロール隊の活動について質問し、具体的な取り組みや予算についての詳細を求めた。市民環境部長の小山郁郎氏は、交通指導員が設置されて以来の活動内容を明らかにし、市民との連携を強化していく必要があると述べた。
質疑の中では、熊本豪雨の影響についても言及があり、市からのボランティア活動への評価や今後の課題についても話し合われた。特に、高齢化が進む地域での生活道の維持管理についても議論があり、市民ボランティアの参加が期待される場面だった。
これらの質疑を通じ、宇土市議会は、行政のデジタル化や地域の歴史資源の活用、さらには安全安心な生活環境の実現を本会議の重要課題として位置づけていることが浮き彫りになった。今後も地域のニーズを反映させた取り組みが求められる。