令和2年6月、宇土市議会において行われた定例会では、いくつかの重要な議題が取り上げられた。
野口修一議員は、人口の変化と移住定住について詳しい質問を行った。宇土市内では、過去15年間にわたって全地区の人口が減少傾向にあり、特に網田地区は大幅な人口減少が見られる。企画部長の石本尚志氏は、平成28年度の統計に基づき、10年後の人口予測を行った結果、宇土市全体の人口は約741人減少し、特に網田地区ではより深刻な状況が予測されると述べた。これに対し、野口議員は地域再生における早急な取り組みを訴えた。「まちづくりは人づくりと言われますが、人口がいなくなれば、それすらも意味がありません。今こそヒト・モノ・カネをつぎ込む必要があります。」と強調した。
また、キリシタンの歴史に関する質問も行われ、教育部長の宮田裕三氏は、市では天草四郎や小西行長に関する調査が行われたことを報告し、歴史を記録し継承する重要性が指摘された。特に、宇土市のキリシタン文化の重要性とその歴史的背景が今後の文化振興に寄与すると期待される。さらに、地域振興や観光インバウンドの促進に繋がる取り組みが重要であることが強調された。
さらに、介護についての質問では、健康福祉部長の岡田郁子氏が、宇土市では在宅介護手当を支給し、具体的な支援の状況を説明した。特に介護人の男女比や年齢構成についてもデータを示し、現状の課題について議論が交わされた。岡田氏は、「介護離職を防ぐために、仕事と介護の両立支援が必要です」と述べた。
最後に、赤字問題を抱えるJR三角線についての質疑が行われた。市は、今後JR九州との協議が必要であるとし、沿線地域の活性化策を模索していく意向を表明した。市民の移動手段を守り、観光資源としても生かすための具体的な行動が求められる。
このように、様々な分野での課題に対し真摯に向き合う姿勢が見られ、地域の持続可能な発展に向けた取り組みの重要性が改めて浮かび上がった。