令和2年9月10日に行われた陸前高田市の定例会では、新型コロナウイルス危機と自治体の将来についての重要な議論が展開された。
藤倉泰治議員は、新型コロナの感染再拡大がもたらした影響に言及し、その脆弱性を指摘した。特に医療体制の弱体化が深刻な問題になっていると強調し、「現代社会の矛盾が明らかになっている」と述べた。市がどのように市民の命を守るための施策を行っているか、市長に対し明確な回答を求めた。
市長の戸羽太君は、「新型コロナウイルス感染症の対策は国、県、市が協力し合う必要がある」との観点から、感染予防策に重点を置きつつ、保健福祉総合センターでの相談窓口も整備していると述べた。市民が安心して医療を受けられるよう、さまざまな対策を講じているという。こうした取り組みが少しでも地域復興に寄与することを、市長は期待している。
次に、令和元年度決算と今後の財政運営に関する質問へ移った。藤倉議員は実質収支が18億円黒字であることを引き合いに、健全な財政運営が継続しているとの見解を示したが、一方で今後の国の財政措置が不確定な状況下で、財政運営が困難になることへの懸念も表明した。
総務部長は、災害対応や新型コロナ対策のために数度の補正予算を編成した実績を示しつつ、次年度の厳しい見通しに言及した。特に、復旧・復興にかかる予算規模の縮小が予想される中で、どのように財源を確保するのかが重要な課題となっていることを明らかにした。
大規模洪水と土砂災害の対策に関する質問も、地域住民の生活に直結する重要なテーマである。藤倉議員は新たに公表された洪水浸水想定図について触れ、実際の災害に備えるべく避難所の整備状況や、避難場所の数についての評価を求めた。防災局長は、指定緊急避難場所の数が限られた状況を認識し、自主防災組織の支援を通じ、さらなる取り組みを進めていく意向を示した。
市民の安全を保証するためには、より多くの避難場所の確保や、その情報を周知させることが肝要である。今回の会議では、今後の防災計画における避難施設の増設、手立ての強化を訴える声が強まっている。