令和2年12月16日に開催された宮古市議会定例会議では、気候変動への取り組みや森林保全、介護予防といった課題が鋭く問われた。
田中尚氏は、「宮古市気候非常事態宣言」の重要性について強調した。2015年のパリ協定を引用し、脱炭素社会の実現に向けた各種施策の進展を求めた。具体的には、2050年までにCO₂(二酸化炭素)実質排出をゼロにする目標や、省エネルギーと再生可能エネルギーの並行推進が挙げられる。これに対し、山本市長は、「地域エネルギー供給率100%を目指し、再生可能エネルギーの導入を進めていく」と回答した。
次に田中氏は森林保全の推進についても触れ、「荒廃した山林は地域の気候非常事態宣言とも関係が深い」と指摘し、地域木材の利用促進や自伐型林業の重要性について述べた。市長は、林業事業者支援や補助金制度の充実を通じて、この課題に取り組む姿勢を示した。特に、地域木材の利用による新たな産業の創出には、期待が寄せられている。
また、小島直也氏は、2025年を見据えた介護予防について議論を進め、「独居高齢者の孤立を防ぐ施策の強化」を求めた。特に、地域参加を促進するための通いの場づくりや集会所活用の促進が重要とのこと。市長は、地域包括支援センターとの連携や健康公園の整備を通じて、孤立防止に努める考えを述べた。地域での見守り体制についても、ボランティアの力を活かしていく方針を明らかにした。
さらに、小島氏は不妊治療への通院費助成についても言及し、経済的負担が障害となる場合があることを指摘した。市の助成制度の必要性について意見を求めた。市長は、現在の助成が十分機能しているとしつつ、国の動きを注視しながら対応していく方針を示した。
この議会では、地域の気候対応から福祉政策に至るまで、多角的な視点で市民の生活環境の向上に向けた施策が議論され、参加者にとって有意義な会議となった。