令和5年3月13日に開かれた北上市の定例会議では、複数のアジェンダが討議された。市長は今年度の施政方針を述べ、市民から期待されている様々な福祉施策の推進や地域経済の振興を強調した。特に、少子化の進行に対する対策として、教育行政や子育て支援策に力を入れ、未来に輝く人づくりを目指すことをアピールした。
市長の施政方針では、合計特殊出生率の回復に向けた具体策が提案された。プレゼンの中で、市長は「保育に対する支援をさらに強化していく。」と述べ、地域の保育需要と供給を見据えた公立施設の見直しを検討していることを明かした。その一環として、来年度からの第3期子ども・子育て支援事業計画の策定を挙げ、保育士不足問題を解消するための奨励金制度を強化する方針も示された。
また、公共交通網についても話題に上がった。具体的には、路線バスの廃止に伴う影響で「おに丸号」の運行によって地域内交通の維持を図る一方、今後も各地域の公共交通ニーズに応じた施策を講じる考えを示した。さらに、観光業など影響を受ける業者への支援も必要であるとし、ウィズコロナの文脈でこれらを進めていく必要があると指摘した。
市場の状況を踏まえて新設される大学については、大卒人材の需要が高まっているとの結果が報告され、専門家を招いた検討を進める意向が示された。2年間にわたって調査研究を進めてきた結果、地域企業からは電気・電子分野の人材が求められていることが多く挙げられ、大学設置に向けた方向性として、より専門性を高める必要があることが強調された。
教育行政施策においては、不登校児童生徒への支援の充実策や、地域住民の多様なニーズに応じた柔軟な支援体制の強化が重要視される。市としてはスクールソーシャルワーカーの配置を進め、地域社会全体で子供たちを支える仕組みを築くことを目指している。
しかし、依然として課題は多く、保育需要の減少や公共交通網の整備不足など、これからの対応が急務であることが確認された。会議では、市民参加型の施策づくりや、持続可能な地域づくりに向けた努力が必要であるとの意見が交わされた。
最後に、利根山光人記念美術館の廃止計画についても言及され、今後の文化促進への取組の重要性が強調された。市民から寄贈された美術品や地域の文化遺産を効率的に活用し、地域振興に寄与する戦略が必要であるとの見解が示された。