令和6年3月5日、花巻市の定例会が開かれ、各議員が地域の課題について意見を述べた。中でも注目されたのは、デジタル田園都市国家構想に基づく施策である。
市では、デジタル田園都市国家構想交付金を活用し、地域活性化を目指している。この交付金には、デジタル実装を通じて地方の課題解決を図るプロジェクトが含まれ、令和6年度予算において約1億3151万円が計上された。市当局は、行政手続きオンライン申請システムの導入や、子育て相談記録システムなどの事業を推進し、国からの事前審査を経て具体化を進める方針であるという。
また、サテライトオフィスの設置も議論の焦点となった。この施策は、都市から地方への人の流れを作るための重要な手段と認識されており、県外企業の誘致が期待されている。しかし、現実にはサテライトオフィスの設置は難しいという意見もあり、商工観光部長は、地域のアクセス面の課題や地域企業との連携を重視する必要があると指摘した。
富士大学との連携に関する発表もあった。市は、地域創生を目的とした協定を結び、富士大学の知的資源を活用して地域問題を解決する取り組みを進めている。市長は、富士大学との共同プロジェクトが地域振興に大きく寄与しているとの見解を示し、今後の積極的な関与を期待する。ただし、大学側の要求に基づいてサテライトキャンパスの設置時期など、具体的な協議は進んでいない様子である。
さらに、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスとの連携状況も報告され、市の職員が地域おこし研究所で研修を受けていることが強調された。市は、研究の結果を広く地域に還元し、この取り組みを通じて実質的な施策が実現することを望んでいる。
最後に、子ども・子育て応援プロジェクトについての議論も白熱し、議員からは学校給食費の無償化に関する提言がなされ、市長は現実的な財政面の課題を指摘しつつも必要な施策に対しては柔軟に考えていく意向が伺えた。