北上市は、12月9日の通常議会において、農林水産業の振興や地域経済の維持に向けた議論が交わされた。
特に目立ったのは、農業に関する質問である。19番の武田勝市議は、農林水産業予算の充実について議論を呼びかけた。市内の農林水産業予算を、近隣市なみの比率で拡充し、スマート農業の基盤整備を進める必要があると主張した。市は、この提案に対し、農業技術を向上させるための具体的施策を示す方針を明確にした。
また、有害鳥獣被害についても武田議員が提言した。最近、熊による被害が増えているため、捕獲体制を強化し、市民通学路の安全確保についても検討する必要がある。それに対し、市長の高橋敏彦氏は、現状の取り組みを説明し、熊捕獲用のわな設置など被害防止策を進めることを強調した。
教育面においても高橋市長は、地域医療の充実に関して具体的な施策を求められた。特に医師確保のためには、民間施設の増加が必要であるとの認識を示した。医師会から充分な協力を得ることで、北上市の医療サービスを向上させる考えが強調された。
平野明紀市議は、コロナ禍における地域経済と雇用の維持についての質問を行った。事業者への影響を考慮し、独自の支援策、たとえば固定費への補助を要望した。市長は、その必要性を認識し、事業者と連携し支援策拡充に向けて取り組む意向を示した。また、就労と雇用の確保についても合意がなされ、「地域で働きたい」という市民の声に応える形での労働市場の改善へ向けた検討が進められる。
最後に、高齢者施策については、地域包括支援センターや公的な医療機関が、より利用しやすい環境を整える方向に舵を切る方針を示した。特に、高齢者の健康維持のための訪問活動や、介護職員の賃金引き上げなど、生活の質を向上させるための施策も強調された。
全体の質疑の中で、市民生活に密接に関わるさまざまな課題が浮き彫りとなり、各議員の発言は、高い市民意識に根ざしたものであった。これらの議論を経て、北上市は今後も市民の声を重視し、実効性のある施策を着実に推進していくことが求められる。