令和5年6月19日、田村市議会において重要な議論が交わされた。
議事の中心に位置するのは、下水道事業についての質問で、特に受益者負担金の不適切な処理に関する問題であった。議員の半谷理孝氏は、受益者負担金の債権放棄額が3960万円に及ぶことを指摘し、その合理性を疑問視した。「負担の公平を考えたときに、適切な判断であったのか」との言葉が場内に響いた。これに対し、上下水道局長の石井敏夫氏は、受益者負担金について詳細な説明を行い、放棄の経緯や事業の収支計画に言及した。
続いて、市民病院建設の話題に移り、白石高司市長が市民病院の新設計画について言及した。市長は、建設が1年遅れることにより生じた賃借料支出が約6000万円、実質負担は約500万円であると説明。さらに、建設費用の見積もりが初めの段階から膨張している点への懸念が示され、「今後も財政負担を最小限に抑えつつ、市民のニーズに応える工夫が必要」と強調した。市民病院建設とその関連コストについて、多くの不安の声が上がった。
住みたくなる地域づくりというテーマも重要な議論として挙げられた。副市長の小野淳一氏は、「住みやすい環境を整えることが、他市との競争において重要」と述べ、今後の施策について市民の意見を反映させる方針を示した。同時に、行政として、医療サービスや子育て環境の充実を図る必要があるとの考えを述べた。
最後に、田村市滝根観光振興公社への指定管理に関する議論が行われた。この管理を担う公社は、観光施設の運営において経営改善を求められるが、昨年度からの変更点として、施設の収益性が重視される新たな管理体制が導入された。産業部長の吉田淳氏は、「入水鍾乳洞やあぶくま洞の管理が一本化されたことで、経営の効率化が進む」と述べており、観光振興への期待が寄せられている。
今後、議会はこれらの課題に真摯に向き合い、市民のための施策を推進する必要がある。特に下水道事業や市民病院建設に伴う財政負担は、今後の市政において大きなテーマとなるだろう。