令和元年12月2日、相馬市議会は定例会を開会した。議場では、災害復旧に向けた各種議案が提出され、市の今後の方針が審議されることとなる。
市長の立谷秀清氏は、台風19号とその後の豪雨による深刻な影響を報告した。記録的な降雨がもたらした被害は、住宅1,675棟が床上または床下浸水し、農地約650ヘクタールが冠水したと述べた。公共土木施設の被害額は約41億9,400万円、農業関連損失は約53億400万円に達する見込みである。
立谷市長は、災害復旧と住民支援の必要性について強調した。特に、被災者の生活再建に向けた相談窓口を設置したことに触れ、無料相談の開始を報告した。これに伴い、全国市長会と日本弁護士会との協定に基づき、専門家による相談を行う取り組みが始まっている。
また、相馬市福島道路の整備進捗についても言及し、来る12月22日の供用開始を予定していることを明らかにした。この道路開通が地域産業の活性化や交流人口の拡大に寄与することを期待している。
議案の説明の中で、特に注目すべきは、台風の影響を受けた市民への税金減免措置に関する条例である。立谷市長は、この減免措置が被災者の経済的負担を軽減するものであると強調した。この条例は、個人市民税や固定資産税などの減免を網羅し、早急な施行を目指している。
さらに、下水道事業の経営状況を見直すための新たな条例についても触れた。これは、相馬市公共下水道事業特別会計および農業集落排水事業特別会計を、地方公営企業法に基づく公営企業会計に移行することを目的としている。こうした改正により、透明性を高めつつ、効率的な運営を進める狙いがある。
日程において、各議案に対する審議が進行し、順次議決を求める形が取られた。災害からの復旧と市民生活の安定に向けた取り組みがこれからも重要なテーマとなる。議会は、今後フルに議論を重ねることを約束し、散会の運びとなった。