令和6年2月29日、北九州市の定例会が開かれ、様々な議案が提出された。この中でも注目されたのが令和6年度の一般会計予算案で、一般予算は地域振興や産業振興、教育施策が盛り込まれている。特に、「稼げる町」を掲げた産業振興未来戦略の提案が注目を集めている。
松岡裕一郎議員は、現在の北九州市を取り巻く経済状況を踏まえ、成長を促進するための具体的な戦略を求め、市長に質問した。松岡議員はまず北九州市産業振興未来戦略について、主要な目標として市内総生産が4兆円を超える具体的な道筋を示している必要があると指摘した。市長、武内和久氏は、具体的な施策を講じることにより企業誘致や新規雇用の創出を目指す考えを強調した。
さらに、松岡議員は若者向けの施策についても言及し、市長が掲げる「日本一若者を応援する町」というビジョンに対し、具体的な行動計画を求めた。市長は若者世代の定着を促すため、若者の雇用創出や様々な支援策を講じる意向を示した。具体的には、若者向けの職業訓練や雇用促進事業を広げること、新たな居場所づくりに向けた施策を進めると述べた。
一方、北九州イノベーションセンターとの連携についても重要な議題であった。市長はデジタルやスポーツエンターテインメントの推進といった新たな事業を展開する方針を説明し、地域のニーズに応じて物づくりやサービスの向上を図る姿勢を示した。
さらに、松岡議員は障害者の移動支援に関しても言及。現状では重度障害者に対してのみ支援が行われているが、軽度障害者への支援拡大の必要性を訴えた。市長はその重要性を認識し、今後の検討を進める考えを表明。
また、登壇した議員たちは、北九州市の文化や福祉に関わる施策の見直しについても発言し、一部削減される予算が市民生活に与える影響について不安を募らせていた。中でも、福岡朝鮮学園への助成金削減が起因して、地域の教育環境への影響を憂慮する声が上がった。市長はこの問題に真摯に向き合い、地域の要望を重視しているとしつつ、具体的な状況について説明を求められた。
市長は前向きな姿勢で、特に企業誘致や将来の産業の成長に向けた施策を強く後押しする意向を示した。特に空港関連の取り組みや、半導体産業の振興などが新たな成長エンジンとなることに期待感をにじませる発言が多く見られた。
市議会の議論は活発であったが、特に市民の声をどう反映するかに注目が集まった。市長は市民との対話を重視し、どんな施策も共に進めることが重要であると訴えた。これからも市政運営が市民の暮らしを豊かにするものであることを期待したい。