北九州市が令和3年3月5日に行った定例会では、2021年度の一般会計予算を筆頭に、重要な議案が多数上程された。
特に、令和3年度の一般会計予算に関連して、北九州市長の北橋健治氏はコロナ禍にもかかわらず、持続可能な開発目標(SDGs)に基づいた新たな施策が進んでいると報告した。市は「コロナに打ち勝ち、未来へつなぐグリーン成長推進予算」を制定し、環境保全と経済成長を両立させる方針を示した。
一方、議会で質問を行った日本共産党の荒川徹議員は、2021年度見通しとして、法人、個人合わせて78億円の減収を指摘するとともに、新型コロナの影響を受けた地域経済の厳しい現状を訴えた。 彼は「まずコロナ対策に力を入れるべきだ」と呼びかけた。特に、医療従事者や福祉関係者への支援が必要であると述べ、「医療機関支援に特別手当を要請すべき」と提案した。
また、荒川議員は「ワクチン接種は重要だが、その実施体制が十分か懸念している」と強調した。市長は、重症化リスクの高い人々を優先して接種する方針を示したが、他市と比較した際の流動性の問題は課題として残る。
さらに、下関北九州道路の事業計画については、経済効果が不透明であり、3,500億円という高額な費用についての具体的な説明が必要だとする声が挙がった。市は今後、費用負担がどの程度になるかなど,国に詳細と資料を求めることを明言した。
また、閣僚が進めるアジア防疫センターの誘致については、福岡県と連携して北九州市への誘致活動を進めるとの報告があった。この事業の実現は、将来的には感染症対策の拠点として地域経済を支える可能性を秘めている。
総じて、北九州市はコロナ禍の困難を乗り越えつつ、地域経済の成長や市民福祉を図るために着実に政策を進める意欲があることが明らかとなった。議会内での議論によりさまざまな意見が交わされ、今後の施策に期待が寄せられる。