令和5年6月9日に開かれた北九州市の定例会で、令和5年度予算案が中心に議論された。
複数の議案が一括して議題として取り上げられ、特に一般会計予算と国民健康保険特別会計予算に関する質疑が注目を集めた。
日本共産党の荒川徹議員は、市長に対し2023年度予算の編成にあたって、市民の医療と福祉の充実を求める提案書を手渡した背景を説明した後、新ビジョンの策定に関する質問を行った。
この新ビジョン策定について、市長の武内和久氏はまず、北九州市が目指す方向性を明らかにし、今後の施策が実現可能であるための意見交換の場を設けることが重要だと強調した。市長が具体策として掲げた「多くの市民の声を聞き、共にビジョンを策定する」ことは、市民参加型の施策実現に向けて進んで行く姿勢を示している。
続いて、物価高騰が市民生活に与える影響について、荒川議員は、市民の困難な状況を指摘した。保護者が負担する保育料や生活費の高騰が足かせとなっている現状を挙げ、より具体的な支援策の迅速な実施を求めた。
市長はこれに対し、「財源を確保し、継続的な施策を講じることで、この目標を達成していきたい」と述べた。また、状況に応じて、必要な支援策を組織的に進める計画についても詳しく説明した。
さらに、教育行政においては、デジタル教育の推進が重要な課題として浮上した。タブレット端末を活用した授業が今後の教育の質に寄与するとの考えを示す一方で、実際にこの技術的進歩をどのように教育の現場に組み込んでいくか、その具体的な道筋が求められるところである。
このような課題に対し、教育長は教育委員会の立場から、今後もタブレット端末を活用した授業や、特にテクノロジーに焦点を当てた教育プログラムの提供を継続的に行う意向を示した。具体的には、地域企業との連携を深めることにより、実践的な学習環境を構築することが大事であるとの見解を持っている。
また、若者議会についての質問がなされ、若者の意見を積極的に市政に反映させる取り組みの重要性が認識された。若者議会が抱える課題、地域における役割を果たすための仕組みが必要であると考えられており、このために予算枠を設ける必要性が引き出された。
これらのやり取りは、北九州市が地域課題に立ち向かい、実行に移すための強力な後押しとなるものと注目されており、今後の市政運営におくその影響が期待される。