令和6年6月、富里市議会の定例会が開かれ、市民の生活に密接に関連する課題が取り上げられた。特に、認知症予防対策、移住・定住促進、農業政策などが議論され、関根正之議員の質問が活発に行われた。
まず、認知症予防対策について、市長の五十嵐博文氏は、厚生労働省の最新データを引用し、2040年には65歳以上の高齢者の約6.7人に1人が認知症になると述べた。現在、富里市では様々な対策を講じている。例えば、地域での運動活動を推進する「健康ちょきん体操」やフレイル予防を目的とした講の実施が挙げられる。さらに、聴覚機能低下向けに補聴器購入助成も開始しており、地域のボランティアと連携した「認知症カフェ」を支援し、社会参加を促進する考えも示された。
次に、移住・定住促進についての議論が続いた。本市の移住・定住の取り組みとして、富里市総合計画が策定され、移住希望者に向けた情報発信が行われている。市長は、この施策により「首都圏近郊の魅力を活かす」と強調した。さらに、県内の他市町の取り組みと比較しつつ、本市の土地利用や子育て環境の充実を誓った。また、課題としては転入者と同程度の転出者数が毎年見られ、本市の人口は横ばいの状況が続いていることが指摘された。
農業政策に関しては、地域計画の策定状況についても言及された。五十嵐博文市長は、農業経営基盤強化促進法に基づき、地域内から農地の受け手を確保しつつ、農地の集約化等を進める施策を述べた。地域計画策定の際の課題についても触れ、農業後継者不足や価格の不安定さが影響しているとした。多様な支援策を通じて、生産者の経営環境の改善を目指す意向が示された。
さらに、自転車運転時の安全対策や大規模災害時における対策も議題に上った。特に「フェーズフリー」の理念に基づく自助の推進策や、被災状況の把握に関する取り組みについても説明があった。市では、行政と地域の協力を得ながら、地域に応じた対策を講じていく考えを表明した。