令和3年9月1日、瀬戸市議会では9月定例会が開かれ、一般質問の中で防災や高齢者福祉、教育問題、そして市職員の増員に関する重要な議論が行われた。
初めに、防災について、議員の三宅聡氏は「昨今の風水害リスクの増大に対応するため、流域治水の重要性について」と訴えた。特に、熱海市の土石流災害を引き合いに出し、盛土造成地調査の現状を問うたところ、都市整備部長の大森雅之氏は、「来年度以降、大規模盛土造成地の安全性について詳細調査を行う計画がある」と答えた。
続いて加齢性難聴と認知症の関連性について、浅井寿美議員は「加齢性難聴が放置されることで、認知症のリスクが高まるという事実を市として認識する必要がある」と強調した。この件について、健康福祉部長兼福祉事務所長の中桐章裕氏は「難聴が認知症の危険因子であるとの認識は持っているが、具体的な対策には消極的」との見解を示した。
介護施設入所の自己負担についても深刻な議論が展開された。議員たちは、補足給付の見直しによる影響が低所得者層に及ぶ危険性を指摘し、市独自の支援策を求める声が上がった。健康福祉部長は「現状の特別給付の制度に踏み込みたくない」との立場を貫き、議論は白熱した。
さらに、新井亜由美氏による中学校の校則に関する質問では、社会問題化している「ブラック校則」への対策について尋ねられ、「学校生活の基本的人権の尊重が重要である」との答弁があった。しかしながら、具体的な改善策や方針の提示はなく、学校側に委ねる形が続くことが指摘された。
最後に原田学氏が、職員の増員問題に焦点を当て、「人口に対して職員数が少なすぎる現状は行政サービスの低下に繋がっている」と訴え、職域別に必要な専門職の増員を強く求めた。市幹部は、職員の健康管理や労働環境の改善に努める姿勢を見せたが、具体的な増員計画には含みを持たせている。
市議会では、各議員の質問を通じて市民の不安や問題点が浮き彫りになり、これからの施策に対する期待が寄せられる結果となった。特に防災や高齢者福祉、教育の場における市民の声に対して、耳を傾ける必要性が再確認される形となった。