令和2年3月定例会において、瀬戸市議会では多岐にわたるアジェンダが取り上げられ、特に本山中学校跡地活用と困難を抱える子どもたちの教育保障に関する議論が注目を集めた。
まず、松原大介議員が本山中学校跡地の活用法について質問を行った。松原氏は、校舎を解体し更地にして土地を愛知県陶磁器工業協同組合(愛陶工)へ返還する方針が変更された経緯や、平成29年に結ばれた協定の30年間の使用期間について問うた。経営戦略部長の高田佳伸氏は、土地を返還する前に「校舎等建物の活用の可能性を模索するため」に公募型プロポーザルを実施したと説明し、今後も返還に関する方針に変更はないと強調した。
加えて、同議員は、公募型プロポーザルの内容についても細かく質問。公募対象の敷地設定については「全ての敷地を設定した理由」や、「転貸借契約の意義」「評価基準」の要素などが挙げられた。高田氏は、一部の内容について市の立場を明確にし、公募された事業が地域との連携を重視していることを強調した。さらに、教育に関する事業が地域に与える影響についても認識していると述べた。
新井亜由美議員は、困難を抱える子どもたちのための教育環境について提言をした。特に、不登校や虐待に苦しむ子どもの教育機会を如何に保障するかが重要であるとし、特別支援学級の充実やスクールソーシャルワーカーの活用についても言及した。また、外国籍の子どもたちの受け入れに向けた体制構築が必要であるとの意見も示した。
馬嶋みゆき議員は、介護環境や高齢者支援策を問いただした。特に、地域包括ケアシステムの推進や訪問介護の役割などが強調され、今後の高齢者支援について具体的な方針が求められた。
また、石神栄治議員が尋ねたごみの減量に関する議論では、家庭系一般廃棄物処理基本計画に基づく取組について、効果を上げるための具体的な施策が依然として十分でないことが浮き彫りとなった。特に、事業系一般廃棄物の増加についても言及され、原因の分析が求められた。
最後に、朝井賢次議員からは、教育や福祉分野における行政の透明性や市民理解を深めるために、評価シートや中期計画に基づく見える化の必要性が訴えられた。特に、教育行政における合意形成が地域活性化の鍵となるとの認識が示された。
議会全体を通して、地域住民の意見を反映した新たな政策の形成が必要であるとする意見が多く、続く議論に期待が寄せられる。行政は、こうした視点を今後の施策にしっかりと取り入れていくことが求められる。