令和2年3月4日に開催された和歌山市議会定例会では、子育て支援や財政問題に関する一般質問が行われ、特に「特定不妊治療費助成金制度」に対する意見が数多く挙がった。
最初に山中敏生議員(民主クラブ)は、特定不妊治療費助成金制度の拡充について質問を行った。昨年9月に指摘した内容を踏まえ、和歌山市が急速に進む人口減少を食い止めるためには、この制度の拡充が不可欠であると強調した。また、和歌山市の平均所得が約325万円である点から、助成金制度の拡充なしには経済的負担から多くのカップルが不妊治療を受けられない状況にあることを指摘した。市では現状の制度について「さらなる充実は重要だが、独自の助成限度額の引き上げは難しい」との回答があった。
続いて、山中氏は和歌山市の財政状況についても質問した。市の負債状況や基金の残高が厳しい状況にあることを受け、今後10年、20年を見据えた財政計画の必要性を訴えた。実質公債費比率や将来負担比率が中核市54市中の下位にあることを指摘し、財政再建に向けた具体策を求めた。市からは、「収支改善に向けた取り組みを進めている」との回答があったものの、依然として課題は残されているとの認識を示した。
また、赤松良寛議員(和歌山興志クラブ)は、学校給食の在り方について質問し、特に中学校給食の選択制がもたらす貧困児童への影響を懸念した。彼は、選択制により給食を受けられない生徒が増えている現状を強調し、本市の中学校給食が子どもの貧困対策の重要な一環であるべきだと主張した。それに対し、市長は「アンケート結果をもとに今後の給食の在り方を検討する」と回答し、貧困対策の必要性を認識していることを示した。
最後に、坂口多美子議員(日本共産党市会議員団)は、介護保険事業について質問を行った。彼女は地域包括支援センターが作成する介護予防プランの策定割合が低い現状を指摘し、その理由を問いただした。均一なサービス提供が行われない問題に対しては、詳細な実態調査を通じた対策を求めた。市からは、「現状を把握し、必要に応じて充実を図る」との回答があったが、坂口氏は引き続きその実施を監視していく必要があると述べた。
この会議では、子育て支援や介護保険などの重要な議題が議論され、今後の和歌山市における施策に大きな影響を与える内容となったことが窺えた。市民の声を反映した施策が求められる中、議員たちは各自の立場から具体的な提案を行い、今後の行政運営に期待を寄せている。