令和4年6月14日、和歌山市議会は定例会を開催し、市の重要施策や地域医療に関する一般質問を実施した。
特に目を引いたのは、丹羽直子議員の子宮頸がん予防ワクチンに関する質疑である。丹羽議員は、HPVワクチンの過去の副反応問題を取り上げ、地域医療の観点から早期発見と予防の重要性を訴えた。
「子宮頸がんは、早期発見が極めて重要です」と丹羽議員が語る。日本では、HPVワクチンは2013年に定期接種が始まったが、数か月後には副反応の懸念から積極的な勧奨が控えられた経緯がある。その後、2021年には安全性が確認され、2022年4月には再度積極的勧奨が再開された。丹羽議員は、地域の保護者に対して正しい情報提供が求められると述べた。
次に、県の子宮頸がん検診受診率に言及した。和歌山県の受診率は低く、丹羽議員は「本市の受診率が下がれば、県全体の状況に悪影響を与える」と警鐘を鳴らした。この点に関して、健康局長は「チャレンジ健康わかやま21」に基づき2023年までの受診率20%を目指すことを確認した。
さらに、教育長と市長にも再質問を行い、がん教育の実施やHPVワクチン接種の積極的な再勧奨に向けた活動について、具体策を求めた。市長は「学生に対するがん教育を進め、安心してワクチン接種を受けられる環境を整える」と回答した。
一方、森下佐知子議員の中学校給食に関する質問も注目を集めた。森下議員は、導入予定のセンター方式の妥当性を問いかけ、子供たちの安全性や教育的観点からの給食提供について質疑を重ねた。「強い食育が求められる中、子供たちがどのような給食を受けるかは重要です」と森下議員は強調した。教育長は、センター方式でも食育に繋がる工夫を行う方針を示したが、森下議員は個々の学校での自校給食の可能性を探るべきとの意見を述べた。
最後に、農業振興基本計画についても質疑が行われた。農業関係者の意見を聞き入れながら、具体的施策を進める重要性が指摘され、市の施策に対する市民参加の促進が求められた。市側は、パブリックコメントを反映した計画作成に努めることを確認した。
この日の議会では、以上のように地域医療、教育、農業振興に関する多様な課題について議論が交わされた。市議会は、今後も市民の医療・教育環境の向上に向けた具体的施策を検討していく方針である。