令和4年6月22日、熱海市議会定例会にて、伊豆山土石流災害に関する様々な議題が話し合われた。特に、被災者支援や復興計画についての意見が多数出された。
市長の齊藤栄氏は、伊豆山土石流災害の主な原因として、数十年に一度の自然災害と不適切な盛土の影響を挙げており、責任の所在については司法の判断に委ねる立場を取っている。市長は、行政として何ができたか反省しつつ、今後の復興に全力を挙げると述べた。また、復興計画については早期の復旧と生活再建が重要であるとの見解を示した。
復興まちづくりに関する意見交換会では、116世帯からヒアリングし、半数が伊豆山地区への帰還を希望する一方で、現地での再建希望は約4割であった。これらのデータから、今後の復興計画には地域のコミュニティ強化が不可欠であることが確認された。
また、公共交通の利便性や不便地域への交通対策として、あいのりタクシーの実証実験が行われている。市はこのプラットフォームの有効活用を期待しており、地域住民と観光客の両方からのニーズに応える方針だ。
教育に関する質問も多数寄せられ、給食費の保護者負担軽減や補聴器購入助成制度についての議論が行われた。市としては、物価高騰に対応するため、給食費の維持に努め、制度の範囲拡大を検討する意向を示した。特に、給食に関しては家庭の負担軽減を目的に、国の臨時交付金を活用し支援を続ける考えである。
さらに、補聴器購入助成制度の導入も提案され、難聴者への支援強化が求められている。市は他市の例を参考にしながら、引き続き高齢者の状況把握に努める必要がある。
最後に、震災後の観光取り込みについて、市長はインバウンド旅行者対象の戦略として、熱海型DMOの設立への取り組みを進める意義を強調した。一方で、合法の範囲内で危機管理や住民参加型の観光を提唱し、市のブランド力を高める計画が重要視されている。このように、この定例会は災害からの復興と観光振興の両面から市の未来を見据えた議論が交わされる場となった。
これからも市民の声に敏感に反応し、適切な政策決定を行うことが熱海市の進む道となるであろう。