令和6年6月熱海市議会定例会が開催され、様々な議題が取り上げられた。
特に注目を集めたのは、日本の主要な観光地でもある熱海市が消滅可能性自治体とされ、その背景に迫った議論であった。この問題に関して、市長の齊藤栄氏は、報道を受けて人口減少が引き起こす様々な課題を認識していると述べた。その中で特に、子育て支援や住宅政策の充実が重要であると強調しながらも、これまでの対策がどの程度効果を上げたのかについては素直に課題を受け止めていた。具体的には、過去に実施してきた施策とは、認定こども園の整備や多子世帯への助成などがあるとした。
また、公共交通の維持に関する議論も盛り上がりを見せた。市内の路線バスが人口減少の影響を受け、減便が続いている現状が浮き彫りになった。不足する運転士の確保や、バス事業者の経営の厳しさについても、利用者数のデータ分析を通じて、どうにかして現状を打開しようという姿勢が示された。特に、地域公共交通計画において「路線バスの総走行キロを2022年度と同等に保つ」という目標が掲げられているが、現実的な手立てが未だ提示されていないことに危機感が示された。
図書館に関する議題でも、長期にわたる休館が市民への影響を及ぼしていることが問題視された。現状、改修工事のため全館休館している図書館に代わる臨時出張図書館の設置を求める声が上がったが、市としてはブックバス運行や電子図書館の活用を進める考えであるという。しかし、対応策の乏しさが市民からの不満を招いた。
高齢者施策については、特に公共交通と関連づいた移動支援策の検討が急務であるとの認識が示された。高齢者が安心して利用できる交通サービスを整えることで、外出の機会を生み出し、地域社会の参加を促す必要性が強調された。また、介護保険事業においても、訪問介護事業所の経営が厳しく、利用者が増える中で職員の確保が難しいという課題が浮き彫りになった。