令和4年第1回松江市議会臨時会が2月15日、開かれた。
この日は、「島根原子力発電所2号機の再稼働について、市民の意向を問い、市民の意思を的確に反映させる松江市住民投票条例の制定について」が議題に上がった。この議案に対し、賛否が分かれる中、熱心な討論が展開された。
賛成派を代表する立場で発言した「共産党市議団」のたちばなふみ議員は、住民投票の重要性を強調した。「住民投票は市民が政策について意思表示できる最後のよりどころ」と述べ、地方自治法が住民投票を認めていることを指摘した。
一方、反対派を代表する「松政クラブ」の吉金隆議員は、住民投票条例の必要性に対し懐疑的な姿勢を示した。吉金議員は、過去の議論や住民説明会の実施を引用し、再稼働のための説明は十分であったとした。また、住民の署名数が少ないことも再稼働推進の理由として挙げ、「市民の半世紀にわたる営みを感じた」と語った。
討論の中で、他の議員もそれぞれの立場から意見を述べた。「明政会」の柳原治議員は、エネルギー安定供給の重要性を説き、原発はカーボンニュートラル社会の実現に欠かせないと主張した。
反対討論に立った「公明クラブ」の田中明子議員も、住民投票によって市民を分断させる可能性に懸念を示した。「この条例案は、多額の経費がかかり、市民生活において賢明ではない」と強調した。このように各議員は、再稼働の是非に対して多様な見解を提供し、慎重な議論を行った。
最終的に、議第1号「島根原子力発電所2号機の再稼働について」の提案は起立少数によって否決された。この結果により、市民の意向を問うための住民投票条例の制定は実現しなかった。
松江市における原発の再稼働問題は、今後も議論の的となる見込みであり、さらなる住民参加が求められると言える。