令和2年9月、甲賀市議会定例会が開催された。議題には、感染症対策や地域振興、新型コロナウイルスの影響を受けた様々な議案が取り上げられた。その中で特に注目されたのは、令和元年度の各会計の決算認定についてであり、総合的な評価がなされた。
市長の岩永裕貴氏は、「この令和元年度は多くの課題があったが、市民の協力のもと、一定の成果を上げることができた」と述べた。その成果には、各種施策を通じた市税収入の増加や、地域経済の活性化が含まれている。具体的には、市税収入が前年度比で増加し、寄附金額も増加したことが強調された。
また、コロナ禍を受け、特別定額給付金の支給や、医療機関への支援策が実施されたことも報告された。この新型コロナウイルス感染症への対応策について、岩永市長は「厳しい状況でも市民の安全と生活を守るため、各種施策を講じてきた」と強調し、今後の対応についても意欲を示した。
一方、信楽高原鐵道の経営状況については、課題が浮き彫りにされた。議員の小西喜代次氏は、信楽高原鐵道の実績に対し、市のサポートが必要不可欠であり、具体的な改善策を求めた。市長は「観光を通じた収益向上に向け、引き続き協力していく」と応じたが、具体的な方策については明確な答えがなかった。
さらに、地域の農業振興に関わる有限会社グリーンサポートこうかの経営状況も問題視された。企業側からは、農業機械の導入や支援策の強化が提案されたが、その実施には一定の時間を要する見込みとのこと。市としては、農業振興に対する具体的な支援を今後どのように行っていくのか、注視が求められる。
また、一般財団法人土山町緑のふるさと振興会に関する質疑では、トイレや公共施設の整備について具体的な計画を求める声もあった。県管理のため、財団の意見が通るか不透明ではあるが、町の観光魅力を保つためには地道な取組みが求められる。
最後に、市の財政健全化については、市民からの信頼を得るため、「継続的な見直しと計画的な取り組みが肝要」との意見が述べられた。コロナによる影響も念頭に置かれ、長期的な視点での地域づくりが求められる中、今後の市政運営に対する期待が高まっている。