甲賀市の令和元年第1回定例会では、地域住民の生活向上や安全確保に向けた重要な課題について多岐にわたり議論が展開された。特に焦点となったのは、河川整備と公共交通の充実、そして地域の観光資源を活用する観光施策である。
特に、大戸川ダムに関する小西喜代次議員の質問では、同ダムの治水効果について疑問が呈され、県知事の方針転換に賛否が分かれた。小西議員は「ダム建設を前提にした議論には異論がある」と指摘し、環境や住民参加による多角的な視点からの検討を求めた。これに対し、市長の岩永裕貴氏は「県民の安全を守るための大戸川ダムの必要性を認識している」と述べ、河川整備の重要性を強調した。
次に、高齢者の移動支援に関しては、信楽高原鐵道での無料乗車券の拡充が話題に上がった。小西議員は「高齢者が市内全域を無料で移動できることの意義を考慮し、市長の公約に沿った施策が求められる」と主張した。市長は、交通弱者への支援を重視し、経営効率の向上が必要だとの立場を示した。信楽高原鐵道の経営改善が進む中で、利用者数の増加と共に地域交通の充実に取り組むことが重要と認識されている。
さらに、国道307号の渋滞解消についても熱い議論が展開された。特に解消策に関しての提言は、県との協議を求める声が挙がり、その実施が待たれている。地元では日常的な渋滞が問題視されており、迅速な対応が求められている。
また、観光拠点整備の取り組みについては、忍者を核にした観光戦略が進められており、愛知県の全国植樹祭視察を通じて得た知見を生かす考えも示された。市長は「オール甲賀で観光事業を盛り上げることが重要」と述べ、市民と共に取り組む姿勢を表明した。さらに、猿による農作物被害についても現状が報告され、地域ぐるみでの対策の強化が求められている。
今回の定例会を通じて、甲賀市の抱える地域課題について、議会と市は多面的なアプローチが重要であることを再確認した。地域住民の意見を尊重し目に見える形で政策を進めることが、今後の市政における大きな課題であると言える。