令和5年9月11日、甲賀市で開催された定例会には、様々な議題が持ち込まれた。
その中でも特に注目を浴びたのが、「農地法、下限面積廃止について」の議題である。下限面積の廃止は、新たに農業を始めたい市民にとって、重要な一歩とされる。農業経営を志す者にとって、下限面積要件が撤廃されたことは、土山地域や信楽地域での特例により更なる改善が期待できる点だ。農業委員会事務局長の地平勝弥氏は、「地元の農業者の減少や高齢化が進んでいるため、新しい担い手を育成する手段として意義がある」と強調した。
次に、「農地所有者不明土地の相続登記義務化について」の説明もなされ、所有者不明による農地や林地の問題点についても言及された。現在、所有者不明の土地が増加しており、地域活動や経済活動の妨げとなっていることは無視できない問題である。この問題解決のために、相続登記に関する手続きの円滑化が求められている。特に、遠方に住む親族が相続放棄する場合、その手続きは容易ではなく、専門家の助言が不可欠だとのことだった。
続いて、農地の有効利用促進に関する議題では、現状の甲賀市における農地の面積や遊休農地の増加が議論された。将来的には、農地利用における改革が必要不可欠であり、特に人口減少が続く中での課題に対して早急な対策が求められると指摘された。実績として、現在の集積率は約44.9%であり、他市との差を縮めるための努力が必要だとの見解が示された。
また、官民連携エリアリノベーション事業についても焦点が当たった。この事業は、地場産業である信楽焼の産地維持を目指すもので、空き家や工場の有効活用によって地域活性化を図っている。産業経済部長の黒田芳司氏は、「再生可能な資源を活用し、地元のクリエイターと連携を図り、新たな観光地としての価値を高めていきたい」と意欲を示した。
特に、窯元散策路の魅力を引き出すための観光交流拠点の設置が提案された。この拠点では、訪問者が快適に休息できる場所を提供し、地域の特色をアピールする意味も込められている。今後の展開については、地域住民の意見をしっかり聞き取ることが重要であり、公共事業として価値ある施設が生まれることが期待されている。