令和5年6月15日に開催された熊谷市定例会では、複数の市議の一般質問が行われた。
重要なテーマとなったのは、マイナンバーカードを活用したデマンドタクシー制度についての質問である。26番の三浦和一議員は、現在熊谷市で導入が進んでいないデマンドタクシーに関する意見を述べた。多くの市民から高齢者の移動手段として導入を望む声が上がっており、前橋市の成功事例を引き合いに出して、熊谷市でも取り入れるべきとの考えを示した。特に、マイナンバーカードを使用することで利便性を高めることができると強調した。また、マイナンバーカードの交付数や利用状況についても具体的な数字を挙げ、老人人口に対する影響を提起した。
次に、鷲塚菜穂子議員が熊谷市自治基本条例の運用と評価について質問した。条例の運用状況とその評価方法について市側の見解を求め、また、意見公募手続についても説明が求められた。市長は市民との対話の中で、条例の理念を実現するために努力している姿勢を示し、議会との連携も重視していると述べた。さらに、議論を深めるためにワークショップや市民参加型の取り組みの重要性についても触れた。
放課後児童クラブの現状については、林幸子議員が取り上げた。資料によると、公共の放課後児童クラブの運営状況について調査し、地域ごとの待機児童の状況を把握する必要があると指摘。特に低学年の児童の受け入れと、運営内容の定期的な自己評価についても求められた。この質問に対して、担当部長は現在も保育士の確保に対する課題があることを認め、特に待機児童問題を解決するための取り組みが必要であるとした。
また、上下水道についての質問では、漏水修繕件数や有収率といった水道事業の基礎データが紹介され、熊谷市の水道事業の運営状況が詳しく報告された。特に、法定耐用年数を超える管路の存在は問題視されており、その老朽化が市民に影響を与える懸念があると訴えた。これに対し、市側は廃水管などを優先的に更新するプランを示し、持続的な運営に向けた取り組みを強調した。
これらの質疑に際して、議員たちは市民生活に密接に関わる制度の改善や新たな施策の推進に向けて有意義な意見を交わした。特に参加型のまちづくりを重視し、市民からの声をどのように政策に反映させるかが今後の課題になっている。各議員は市の対応や運営方針に対する要望と共に、地域のニーズに応じた施策を求める姿勢を見せていた。市側も、これらの声に耳を傾けながらさらなる改善策の模索を進める方針を確認した。