令和3年12月上尾市議会定例会で、議員による一般質問が行われた。重要なテーマとして住宅政策と認知症対策が取り上げられ、多様な意見や提案が交わされた。
13番の矢口豊人議員は、住宅政策に着目した。新型コロナウイルスの影響で、家賃の支払いに悩む市民が増加している現状を説明し、市としての対応が求められると強調した。特に住居確保給付金の需要が急増していることを挙げ、これまでの状況を踏まえた家賃低廉化補助制度の創設を提案した。市内での利用件数は、令和3年度に123件で、新型コロナが影響した前年の200件を上回り、年々増加している。
また、矢口議員は上尾市には具体的な住宅政策が欠如している点を指摘し、基盤となる政策がないことへの危機感を示した。「市民が安心して住み続けるためには、住宅政策の立案が必要であり、居住支援の具体策を急ぐべき」と訴えた。
次に、認知症に関しては、将来の人口予測から大きな課題が浮かび上がっている。令和3年10月末時点で8,290人の認知症高齢者がいる中、2025年には約12,000人に達する見込みがある。これに対処するため、地域包括支援センターの役割を強化し、専門職と市民が連携して支援を行う必要性があるとのこと。
石川健康福祉部長も、認知症対策の重要性に言及し、現在行われている各施策を紹介した。具体的には、地域内での見守りネットワークの整備に取り組んでおり、認知症高齢者に関する情報共有を進める必要があるとした。加えて、徘徊や行方不明の高齢者への対策も求められ、認知症患者の所在を確認する仕組みの強化が期待されている。
矢口議員は、他市の良い例を挙げ、地域で協力して捜索する仕組みが不可欠であるとの考えを示しました。また、認知症患者が引き起こす交通事故についても問題にし、損害賠償責任保険の導入を提案した。これは、家族の経済的負担軽減につながる施策として重要視されている。
矢口議員の幅広い質問は、住宅政策と認知症対策を中心に、地方自治体の課題とその解決策を浮き彫りにした。市が抱えるこれらの課題に対して、今後どのような具体的な施策が講じられるか、市民の厳しい目が向けられていることは言うまでもない。議論の深まりとともに、上尾市の施策が今後より多くの市民の生活に寄与することが期待される。