令和3年6月、上田市では第2回定例会が行われ、様々な議題が取り上げられた。特に注目されたのは、議員からの一般質問であり、社会的孤立防止対策、不登校やひきこもりの支援策、そしてポストコロナ時代における観光の在り方についての議論が行われた。
まず、社会的孤立防止策について、池上喜美子議員がヤングケアラー支援に焦点を当て、多くの中高生が家庭での介護を強いられている実態を指摘した。彼女は、「教育や福祉の関係者が連携し、ヤングケアラーの支援体制を整える必要がある」と強調した。答弁を行った室賀久佳健康こども未来部長は、現状認識とともに、今後の支援体制の強化に向けた実態把握の重要性を述べた。
次に、ポストコロナ時代における観光の未来についても議論が交わされた。渡辺正博議員は、訪問者が減少する中で地域の特色を生かした観光施策が求められていると訴えた。小規模ながら地域自体を活性化できる観光施策を推進し、市民が誇りを持つことの重要性を説いた。大平光博商工観光部長は、地域特性を活かす観光施策の必要性に応え、「上田にしかない体験価値を提供する観光振興を目指す」と述べた。
さらに、明確な支援が必要な不登校やひきこもりの問題についても、教育長である峯村秀則氏が最新の状況を説明した。2020年度の不登校児童生徒数は329人に達し、特別支援教育の重要性が増していることを明らかにした。教育機関はこの問題に組織的に対応し、地域のニーズを踏まえた支援を続けていることが強調された。
また、市長の退職手当についても重要視された。土屋陽一市長は、自己の退職手当を辞退する意向を示し、それを「市民目線の姿勢」であると位置づけ、住民の信頼を得るために一層努力する考えを表明した。これに対し、議員の間で議論が展開された。
最後に、自治会の活動再開基準についても提言がなされた。市民が安全に集まることができる準備や感染防止策を考慮した各種行事の再開の方針が期待されている。市長は今後の感染縮小に向けた方針として、地域と連携した活動の再開を計る考えを示した。
以上の議論を通じて、上田市が地域住民の支援やコロナ禍の影響を受けた観光業の活性化に向けた施策を模索し続ける姿が伺えた。