令和3年9月の上田市議会定例会が開かれた。今回は、議案の審査や報告が中心となり、重要なテーマがいくつか浮き彫りとなった。
特に注目されたのは、財政健全化判断比率及び公営企業資金不足比率の報告である。市長の土屋陽一氏はこれについて詳細な報告を行った。健全化判断比率は、実質公債費比率が5.3%と前年度より0.1ポイント改善され、将来負担比率は36.4%で、7.5ポイントの増加がみられた。この数値は、市の持続可能な財政運営を考える上での指標となる。
土屋市長は、特別警報が発出される中、河川の氾濫や土砂災害といった地域での災害対応に関する取組を報告。感染症対策として、避難所における衛生管理の強化を実施し、8月には避難所運営のための関係者による訓練を行った。その結果、避難所の運営能力向上が図られたと述べた。特に、昨年度からの備蓄の充実が功を奏しており、今後も引き続き関係機関との協力を強める考えを示した。
次に、地域経済に対する影響を及ぼす新型コロナウイルス感染症に関する報告も重要であった。土屋市長は、観光業や飲食業に対する支援策として、消費喚起応援事業を行うことを明らかにした。なお、この事業は昨年度に引き続き実施され、地元店の活性化が期待されている。
また、上田市では、ワクチン接種の進捗状況を報告。65歳以上の高齢者の接種率は約90%に達しており、若年層への接種促進を強化していると説明した。確保されたワクチンと接種体制の充実により、多くの市民が接種を受けられるよう体制を整えていくとした。
さらに、地方自治法第221条に基づく各法人の経営状況についても議論され、特に公立大学法人長野大学においては理工系学部の設置に向けた動きが進んでおり、教育の充実に期待が高まっている。また、事業団の運営においても、新型コロナによる影響を受けつつも、安定した経営に向けた努力が続けられていることが報告された。
これらの案件についてのさらなる審議が今後期待される。また、議会の開催に際し、市民への報告と透明性の確保が重要であるとの意見も多数寄せられた。議長は各委員に対しこれからも市民に寄り添った施策を心掛けるように促した。