令和5年における横須賀市議会が、施政方針や予算案について活発な議論を行った。特に注目を集めたのは、コロナ禍からの回復に向けた予算と施策であった。市長の上地克明氏は、3年間のコロナとの闘いを振り返り、医療や福祉に従事したエッセンシャルワーカーに感謝を示しつつ、施政方針の中で新たな経済復興に意欲を見せた。特に重要視されたのは、アフターコロナを見据えた施策において、経済成長と市民の健康の両立である。市長は「冬の難局に耐えうる施策の種が芽吹きつつある」と述べ、未来への希望を語った。
特に「健幸なまちづくり」というテーマが焦点となった。市は、2040年の高齢者人口増加に備え、健康寿命延伸を推進する必要性を強調した。板橋衛議員は2040年問題を引き合いに出し、現役世代の健康寿命を延ばすための施策実施を求めた。市長はその意義を認めつつ、個人の自由は大切であるとしながらも、健康を地域全体で支える仕組みの構築を強調した。市内の地域で多様な健康施策を展開し、健康に関するデータを活用したアプローチを進める意義が伝えられた。
また、義務教育無償化や給食費無償化の可能性についても議論が交わされた。板橋議員は隠れ教育費の無償化に言及し、特に大きな負担となる給食費の無償化を求めた。市長は現行の法律を踏まえた上で進める必要性を述べたが、具体的な実施は国の施策に依存しているとの立場を示した。給食費の無償化が実現すれば、さらに多くの家庭に経済的な救済がもたらされると期待されており、地域の未来を見据えた提言がなされた。
さらに、環境問題に関する施策として横須賀市はゼロカーボンシティ実現に向けて具体的な取り組みを示している。官民連携を通じたエネルギー対策や市民・事業者を対象とした助成制度の継続が重要とされ、市民の意識向上にも力を入れる姿勢が示された。特に、今後のESCO事業の拡大と効率的な管理が求められ、持続可能な社会を実現するための具体的な方針が期待される。
しかし、議会の中で問題提起されたのは、米軍基地との関係や在日米軍による様々な影響であった。議員たちは横須賀市としての独自の視点を持ち続けることが重要であり、地方の安全保障を確保するために粘り強く要求していくことが必要であると強調した。
最後に、横須賀市は市民の幸福度を測る新たな指標「グロス・ヨコスカ・ウェルビーイング」を導入し、政治が市民の幸福に対する責任をやれるよう取り組む必要があるとの意見が寄せられた。市民の意見を直接伺う機会の設置についても期待が寄せられ、現代の政治が市民の声をダイレクトに反映できる場が求められている。
今後も市議会は、この多様な地方課題に取り組みながら、横須賀市がより良い未来を迎えられるよう協力していくことが期待されている。