令和6年6月10日、花巻市の定例議会において、悪臭対策や高齢者施設利用の苦情対応に関する重要な議論がなされた。
最初の発言を行った照井省三市議は、悪臭対策について以前からの取り組みの経緯を説明した。特に、苛立ちを募らせているのが岩手県化製油脂協同組合による悪臭問題である。照井議員は、「過去35年にわたり、地域住民が悩まされてきた悪臭問題に、何度も勧告を出してきたが、未だ改善されない状況にある」と述べ、その改善計画の実施状況を問うた。
市長の上田東一氏は、平成28年に出された改善勧告に基づく対策が未だ十分でないことを認めつつも、改善策の進捗について説明を行った。市長は、「改善計画を策定し実行しているが、依然として基準を満たすことができていない。技術参与による評価をもとに更なる措置を検討している」と強調した。
一方で、悪臭対策に関する市民からの苦情は増加しており、対応に対する不満も目立つ。「なぜ改善命令を出さないのか」という意見も多く寄せられ、苦情が根強く続いている状況が明らかになった。市長は、現段階で改善命令に至っていない理由として、関係者の協力を踏まえているためと説明した。
続く高齢者施設に関する質問では、伊藤盛幸議員が、過去3年間に寄せられた苦情件数や内容、そしてその原因について問うた。副市長の八重樫和彦氏は、過去3カ年の苦情件数が合計22件であることを明示し、内容としては職員の態度や救急対応の不満が主なものであったことを述べた。さらに、苦情が生じる背景には、今なお続く人手不足が影響していることを指摘した。
また、本舘憲一議員による旧新興製作所跡地問題に関する質問も熱心に議論された。跡地の取得に関して、現在の状況や今後の展望について市長は説明し、「具体的な活用計画がない土地を取得するのは現時点では困難である」という考えを示した。さらに、跡地の活用には巨額のコストがかかるため、他の市有地との比較や公園化についても検討しているとのこと。
今回の議論を通じて、花巻市では悪臭問題、特に岩手県化製油脂協同組合による悪臭が長年の課題であること、市としては切実な声を真摯に受け止め、今後の改善策の強化に努める姿勢がうかがわれた。さらには、高齢者施設の運営に際して、より迅速かつ適切な対応を求める市民の期待が強まっていることも確認された。