令和6年3月の龍ケ崎市議会定例会において、議員たちは介護保険制度の深刻な問題について議論を重ねた。
19番杉野五郎議員はまず、介護保険制度が抱える「崩壊の危機」について問い、その背景には2000年の制度発足からの介護ニーズの急増があると指摘した。特に、高齢化社会が進む中で、制度の健全性が損なわれつつある現状を憂慮。「高齢者福祉と介護において、早急な対応策が必要です」と強調した。
これに対し、坪井龍夫健康スポーツ部長は「介護保険制度は25年の歴史があり、過去に何度も改正が行われてきた。しかし、制度の利用者ニーズはますます多様化しています。それに伴う支援体制の見直しが欠かせない状況です」との見解を示した。特に、制度の利用者が高齢者から若年層への拡大が求められていることに言及した。
次に、杉野議員は「地域包括ケアシステムの推進」についても言及。制度が目指すべき方向性として、「医療、介護、地域社会の総合的な支援が不可欠です。そのためには、地域内での協力体制がいかに機能するかが試されます」と述べた。市長の萩原勇氏も、地域包括ケアシステムを推進することによって、地域全体で高齢者を支える社会の実現を目指す考えを示した。
また、介護職の人手不足問題もクローズアップされた。杉野議員は、介護職における低い給与水準が原因での人材流出を懸念し、「職務に見合った処遇改改善が求められています。介護従事者の処遇改善は、今後の持続可能な介護サービス提供に欠かせません」と訴えた。
坪井部長は「介護職員の給与改善に向けて、過去に数回の介護報酬改定を経て、今年度の改正で平均月額が引き上げられる見通しですが、継続的な改善が必要です」と回答した。
疾患別に特化した介護サービスの展開、地域ごとの人材育成など、議員たちは多角的に意見を交わし、現行制度のさらなる強化へ向けた施策の検討を呼びかけた。市長は今後の課題として、「今後、介護ニーズのさらなる増加に備え、地域包括ケアシステムを強化し、各部局が協働して対応していく必要性がある」と述べた。