令和5年12月に行われた常陸大宮市議会の定例会では、一般質問とともに、常陸大宮市議会議員政治倫理条例を廃止する条例が上程された。
議会の席上、まず大貫議員が令和6年度予算編成に向けた少子化及び高齢化対策に関する質疑を行った。彼は特に高齢者対策に焦点を当て、「今後の人口ビジョンを確認したい」と述べ、堀江企画部長は、2025年には人口が35950人、2040年には26,678人と推計されると説明した。高齢化率は2025年に41.8%、2030年に45%、2040年には51.1%に達する見込まれており、地域コミュニティ機能の低下が懸念されている。
次に、大貫議員は、介護施設の状況や介護職員の人材不足についても言及し、行政がどのように対策を講じているか問い質した。笹沼保健福祉部長は、市内の介護施設が6カ所であること、また介護職員の求人状況が厳しいことを認めた。さらに、地域創生部長の泉氏が、昨年スタートした移動型買物弱者支援事業について話し、高齢者の買物支援を目的に広がりを見せると述べた。
一般質問の中盤には、冨山議員が有機農業の推進に関して質問し、特に昨年設立されたオーガニックビレッジ宣言の意義や今後の展開について鈴木市長が詳細に説明した。市長は「この宣言は、子供たちに最高の食を届けるスタート」と位置づけ、今後は全ての学校給食を有機農産物に切り替えたいと意気込みを語った。
さらに、消防団の減少に関して高村議員は、地域の安全確保に欠かせない消防団員の減少への懸念を示し、片岡消防長は現在の対策や今後の取り組みについて答えた。特に、地域防災力強化のために市民の協力を呼びかけ、多様な人材の確保が急務であると強調した。
議題の最後には、三次議員が市内の医療体制の整備とともに、消防団の役割について再度確認した。鈴木市長が医師確保や地域医療の連携を進める方針を示し、今後の課題として医療体制の充実を挙げた。
一方、常陸大宮市議会議員政治倫理条例の廃止提案については、倫理審査会が一度も開催されていないことや、特定業種での立候補をためらう可能性の指摘があり、吉川議員が提案者に対して内容の確認を求めた。議論は活発であったものの、提案者は準備不足を否定し、結論が得られないまま質疑を終結し、委員会に付託された。
市としては、取り組むべきさまざまな課題が浮き彫りになった定例会であった。今後の進展に注目が集まる。