令和元年9月17日に開催された室蘭市議会第3回定例会では、様々な議題が取り上げられた。
特に、市の公設地方卸売市場に関連する議案に活発な質疑が行われた。日本共産党室蘭市議団の常磐井茂樹議員は、中央卸売市場から地方卸売市場への転換から10年が経過したことを念頭に、青果物や水産物の取り扱い金額が大幅に減少している現状を指摘した。青果物は31.8%の減水産物は46.9%の減となり、ここ数年の縮小傾向が顕著であることが報告された。
この背景には少子高齢化や消費税増税、インボイス制度の導入といった社会変化があると見られる。常磐井議員が「地元商業者にとって危機的状況であり、商業振興に多大な影響を及ぼす」と問題提起したことに対し、経済部長の和野泰始氏は、商業者との共存共栄に向けた取り組みを進めていくと述べた。
市場法改正の影響についても言及され、市場の公共性の後退や公正な価格形成の仕組みが脅かされることにリスクがあると警告が発せられた。和野経済部長は地方特性に依存した市場の活性化と、適正な価格形成の維持に努めることを強調した。
次に、水道事業を巡る議論が続いた。市の水道事業の経営状況と次年度からの水道料金改定をめぐる質疑では、安定した水供給を確保するための老朽化施設の更新に向けた必要性が確認された。特に水道料金の20%改定という大幅な値上げが提案される中で、市民生活への影響が懸念され、慎重な対応が必要とされることになった。
また、旧絵鞆小学校を巡る議論においては、市の文化財審議会での保存要求が根底にあった。しかし、市が解体方針を決定したことに対し、市長は、今後のまちづくりや安全に関する観点から厳しい決断だとコメントした。市民の意見が受け入れられない形での解体計画に対し、市民からの不満が高まる中で、指導者としての責任をいかに果たすかへの問いかけが続いている。
この議会は、地域に深刻な影響を与える問題を多数含み、市議会議員が市民の意見を聴く場としての役割が益々重要となっていることが明らかとなった。地域経済の振興、安全の確保、そして市民の信頼とのバランスをどう図るかが今後の課題となる。