令和4年第1回神石高原町議会定例会では、森林の皆伐や再造林について大きな議論が展開された。水道事業の統一化に向けた取り組みや、企業団設立に関する課題も重要なテーマとして取り扱われている。特に、水道事業を巡っては、広島県が進める広域連携が町の将来に及ぼす影響について、多くの意見が出された。
まず、水道事業統一化への町の対応に関して、林憲志議員がそのメリットとデメリットを指摘し、神石高原町と水道施設の廃止について慎重に検討すべきとの意見を述べた。これに対し、町長の入江嘉則氏は、広島県が進める事業計画素案に基づき、適切な水の供給体制の構築を目指すと強調した。町長は「水質が良好な水源を活用する考え」とし、安全で安定的な水道システムを構築する方針を示した。また、企業団の将来の民営化については、「民営化は100%ありえない」と明言し、運営はあくまで 地元自治体が行うとした。
次に、新自由主義的政策に関しては、農業経営者や現状の農業振興策が未だ参加できていない現状を踏まえ、柏床清治議員が懸念を示した。柏床議員は「特に小規模農家への報酬システムが新たなステップにつながるかが重要だ」と強調し、町長に具体的な支援策について問いかけた。町長は「新規就農者の支援策拡充や、相互利用の環境づくりが不可欠」とし、地域の中小事業者支援に力を入れる方針を述べた。
さらに、現在の有害鳥獣対策についても言及が行われた。環境衛生課長の森山郁夫氏は、「イノシシや鹿の捕獲に対する支援として、新たな対応策を講じる」とした。その具体的な一環として、捕獲後のジビエ活用なども取り組む予定だと述べた。
町は、農業振興ビジョンの見直しに今後取り組む意向も示したが、個々の農業者への支援策が不足していることが多く指摘された。特に、農業者の高齢化進行による生産力低下が懸念され、長期的な視点での政策見直しが求められている。
各議員からは、デジタル化の推進も求められた。特に、デジタル技術を活用した新たなサービス提供や、変化する社会ニーズに対する柔軟な対応が求められている点は共通した課題であった。今回の議論を通じ、神石高原町の独自性を活かしつつ、今後に向けた具体的な施策が期待される。