令和2年9月10日、南相馬市議会は定例会を開き、議案や報告について活発な質疑が行われた。特に注目を集めたのは、南相馬市弔慰に関する条例の提案だ。これは、災害業務で亡くなった職員に対する感謝と追悼の意を示すための条例であり、議案92号として提出された。総務部長の新田正英氏は、条例について詳細を説明し、パブリックコメントの結果を受けて変更された点も明らかにした。新田部長は「条例制定の背景には昨年の台風による災害対応中の事故がある。この条項を設けることで、遺族に弔慰金を支給したいという意向があった」と強調した。
一方、議会では、この条例をめぐる議論が活発化し、岡崎義典氏や渡部一夫氏から、市の業務に参加した他の職員や災害で実際に亡くなった方々にも配慮すべきという意見が多数寄せられた。両氏は、「今回の対象が特定の職員のみであり、他の方々については考慮されていないのは不公正ではないか」と不満を表明し、多くの意見が集まった。
さらに、岡崎氏は「違うケースに適用されるべき方々を無視するべきでない」と述べ、複数の職員や他のボランティアの功績を評価する形が必要だと訴えた。新田部長は「今回の条例は、特定の事案を起点としたものであり、過去に得られなかった制度を設ける契機としたものである」とし、特定の状況での弔慰を示すものであるとし理解を求めた。
議案93号として提出された南相馬市健康づくりトレーニングセンター条例については、利用者数や事業内容について審議が進められ、多くの期待の声が寄せられている。利用目的や市民に対する利便性の向上、健康促進の効果が期待されており、地域資源を有効活用した事業運営に期待が寄せられている。
また、他の議案も次々と取り上げられ、税に関する改正や新たな補助金制度の設計についての具体的質問が続いた。各議案に対する意見や質疑が交わされる中で、審議は一層活気を帯びている。議会終了後、議員たちは市民の期待に応える施策を構築し、より良い南相馬市の実現に向けて調整を重ねる必要があると強調した。