令和3年3月15日に南相馬市議会で開催された定例会では、市長政策や市民生活に直結する諸懸案が議論された。
中心的なテーマは市長の政治姿勢とその実績に関してである。市長の門馬和夫氏は、震災後10年間の復興状況について説明し、人口減少についても言及した。特に、小高区の入院機能再開に関する公約の実効性が議題に上がり、大岩常男議員の問いに対し、門馬市長は「復興進捗のおおむね70%が達成されている」と述べつつも、小高区の帰還促進についての厳しさも認め、移住施策へシフトする必要性があるとの見解を示した。
また、男女平等への取組については、教育委員会の羽山時夫事務局長が「男女共同参画社会の実現を目指し、様々な施策に取り組んでいる」と述べる一方で、依然としてジェンダーギャップが深刻であることを訴えた。これに関連して、男女の職員比率や政策の実施といった具体的な対策がどの程度機能しているのかに関する問いも存在した。
教育政策については、特に「読書の力」を高める施策が議論された。小中学校の読書活動推進計画は進捗しているものの、依然として目標達成度が不十分であるとの悲観的な見解が示された。具体的な目標については、教育委員会として明確したいとする意向が表明された。
ただし、これらの政策が実効性を伴っているのか、また市民の理解や支持を得ているのかという点を踏まえた検証が今後求められることは間違いない。特に、移住・定住施策や男女平等の実現に向けた積極的な広報が必要であり、市民とのコミュニケーションの強化が不安の解消や政策の実現に寄与するという意見が目立った。
総じて、今後も南相馬市の復興に向けた具体的な取り組みが始まり、特に市民一体化の取り組みが不可欠であるとの意識が示されたことが印象的だった。