令和5年3月7日に行われた南相馬市の定例会では、複数の重要な問題が熱心に議論された。特にヤングケアラーの実態と対応策、岸田政権の原発政策、市民の健康増進が取り上げられた。
ヤングケアラーとは、家庭でケアを必要とする家族を支えるために多大な負担を担う子供たちを指す。この問題に対して、渡部寛一無会派議員は、「本市におけるヤングケアラーの実態」を問い、その把握方法と支援策について具体的な質問を行った。市は、こども未来部長の末永実氏が答弁し、令和5年2月末時点で2世帯4人を把握していると述べ、今後は地域での理解促進に努める必要性を強調した。特に、ヤングケアラーが支援を必要としながら表面化しにくいことを認識しており、地域社会全体での支援が重要であるとした。
さらに、岸田政権の原発政策に対する厳しい意見も交わされた。田中一正友和会議員は、原発の再稼働や新増設は福島県民に対して無視されていると主張し、過去の原発事故の苦しみを踏まえた政策転換を求めた。これに対して市長の門馬和夫氏は、多難な背景を持つ市民の思いに寄り添い、反対の立場を明確にした。また、放射性物質に対する不安を軽減するため、啓発活動や情報提供の強化を表明した。
次に、市民の健康増進については、田中一正氏がメタボリックシンドローム対策とサイクリング人口の拡大について詳細に質問した。健康福祉部長の岡田淳一氏は各種健康づくりの取り組みについて報告し、特にメタボ対策において、健康教育やその普及に努めていることを挙げた。また、認知症への対応策、サイクリングの普及に関しても意義深い議論が行われた。
外国人との共生社会についての議論も活発だった。多文化共生センターSAKURAの取組が紹介され、特に市内に住む外国人の生活支援や日本語教育が進められていることが強調された。これにより、地域の多様性を尊重し、地域住民との交流を促進しつつあることが報告された。
最後に、経済部長の横田美明氏が市内の事業者の後継者不足に言及し、特定地域づくり事業協同組合の制度を活用していくべきとの提案が出された。各市町が連携し、問題意識を共有する中で、具体的なアプローチを行う必要性が示された。
このように、南相馬市では、多方面にわたる問題に対して市民の声を基に具体的なアプローチを取っており、今後の取組に期待が寄せられる。