令和5年3月1日、松戸市議会定例会が開かれ、市長の施政方針が示された。新年度の施策では、財政健全性の確保と市民生活の向上が強調され、特に子育て支援と地域の安全が重要課題として取り上げられた。
施政方針において、本郷谷健次市長は、「松戸市では、令和5年度予算編成にあたって、財政の持続可能性を考慮した上で、歳出削減と新たな市民サービスの確保を両立させることを目指す」と述べた。新年度予算として約722億円の市税収入を見込んでおり、過去最高の水準となる見通しだ。これは生産年齢人口の増加や不動産関連の好調さによるものだが、同時に物価高騰の影響を受けた歳出の見直しが必要とされる。
市議会では、末松裕人議員から新年度施政方針が取り上げられ、特に「新年度には全庁的な業務量調査を通じて、財政改善策を見出せる可能性がある」との見解が示された。さらに、子育て支援に対する新たな施策として、待機児童対策や医療的ケア児への支援施策の充実が求められた。全市的な子育ての支援体制を整備し、地域共生社会の実現に向けた取り組みも強調されている。
その他、新松戸駅東側地区の土地区画整理事業における進捗状況や、松戸市の防犯対策についても議論され、特に子供たちの安全で安心な環境の確保が切実であるとの議員の指摘があった。この中で、必要な地域人材を発掘し、コミュニティバスの運行の早期実現に向けたスケジュールの重要性も訴えられた。
医療サービスについては、急性期から慢性期医療への移行や、東松戸病院・梨香苑の廃止に伴う医療空白の克服が重要な課題となり、民間医療機関の誘致策が検討されている。これに対し、市民の意見も取り入れ、適切な医療提供体制を維持する姿勢が求められている。加えて、地域住民による医療ニーズの把握と迅速な情報提供の体制づくりが必要だとされている。
そのほか、新焼却施設の建設につき、早急な整備が求められ、地域の皆様に喜ばれる形で進めるべきとの意見が示された。副市長は「新焼却施設は、透明性を持って進め、地域の理解を得ることが大切である」との考えを示した。
議会の議論は、地元の特性を活かした持続可能な政策形成と、市民の声を聴きながら進めることが重要であると強調され、今後の動向に注目が集まる。