令和元年6月に開催された江津市議会定例会では、児童福祉や文化遺産の活用、医療施策など多岐にわたるテーマが議論され、その中でも特に注目を集めたのが「文化遺産の活用と継承」についての質疑である。
田中利徳議員は、石見神楽が文化庁の日本遺産に認定された経緯について質疑を行った。この認定は石見地域の文化財の保護・継承活動に寄与するものであり、市が強調する地元の伝統文化を新たな観光資源として活用するための取り組みが必要と指摘されている。文化の保護はただの過去を守るものではなく、地域経済に新たな息吹をもたらす可能性を秘めていると述べた。
さらに、田中議員は、石見神楽に関連する次の質問として、地域全体での認定を祝うイベントの実施について尋ねた。商工観光課長の三木和彦氏は、認定日当日に地域9市町が統一して懸垂幕を掲げたことを例に挙げ、統一的なお祝いの動きがあったと報告した。また、今後の観光振興について、江津市全体でしっかりと支えていく必要性が述べられた。
万葉の文化を活用した観光振興についても質疑が行われ、田中議員が「令和」の新元号が万葉集から由来することを取り上げ、これは江津にとって大いにアピールすべき点であると指摘した。江津市では、万葉の文化に即した取り組みが求められており、特に学校における教育を通じて、子供たちにその価値を伝えていくことの重要性が強調された。
一方、高齢者福祉に関する議論では、地域住民の健康促進活動や介護予防事業の拡充が必要だとされ、江津市内での各種活動が紹介された。また、生活支援活動に参加する高齢者の増加傾向が見られることから、地域とのつながりを持ちながら健康寿命を延ばす取り組みへの期待が寄せられた。各圏域で住民の健康をサポートし、要介護状態を減少させる施策が一体的に進むよう、さらなる支援が求められている。
この日、議会で発表された意見や質問を通じて、江津市が推進する各種施策がより具体的に地域に生かされるための新たな一歩となることが期待される。地域の伝統文化の継承と福祉施策は、江津市民にとっても重要なテーマであり、今後の動向が注目される。