令和4年3月三郷市議会定例会においては、交通弱者への施策が重要なテーマとして取り上げられた。
田上広子議員は、公共交通機関網が不足している地域の課題について質問を行い、特に交通弱者の状況に焦点を当てた。
田上議員は、公共交通が不十分な地域に住む高齢者や障がい者が感じる移動の不便さに対して詳細に説明した。特に、路線バスの減少や廃止が住民に与える影響を指摘し、コロナ禍における利用者の減少がさらに深刻化していると述べた。
市長の木津雅晟氏は、現在の公共交通を取り巻く厳しい環境について認め、コロナ禍による影響や利用者数の減少が経営に与える問題点を強調した。また、路線バス事業者には公共交通を支える自負と努力を求めていくとし、官民が協力して交通サービスの維持に努める姿勢を表明した。
さらに田上議員は、運転免許証の自主返納者の増加とその影響についても言及した。運転免許証を返納する際の心理的障壁や、その後の移動手段の確保の必要性を論じた。市内での自主返納者数がほぼ横ばいであることも示され、公共交通の拡充が急務であることが強調された。
また、新たな移動手段として提案されている「グリーンスローモビリティ」にも触れ、地域特性に応じた新しい交通サービスの導入が求められていると指摘した。実例として、群馬県の相乗り送迎サービスや、低速度での運行を可能にする新技術の導入が紹介された。他にも、公共交通の利便性を向上させるためのMaaSの導入など、国の法律改正が地域交通の再生に向けた新たな可能性を広げたことも述べられた。
最後に、田上議員は、新たな交通サービスの確立は高齢者や障がい者が自立し、安心して生活するために不可欠であることを訴えた。市は今後も地域住民のニーズに応じた移動手段の構築に向け、各種施策を進めていく必要があると結論付けた。市民が安全かつ快適に移動できる環境の整備が求められている。