令和2年第1回豊見城市議会定例会が、令和2年3月30日に開催された。
本会議では、議案第8号の令和元年度豊見城市一般会計補正予算に関する再議が注目を集めた。市長の山川仁氏は、この再議について市議会の提案権の侵害を理由として異議を唱え、議会内の議論が割れる結果となった。山川市長は、教育関連施設等整備基金への予算の増額修正が、長の予算編成権を侵害するおそれがあると強調。「長が提案をし、議会が修正を加えるにあたっては、法律に基づく慎重な審議が必要である」と述べた。これに対し、与党議員たちが修正案に賛成の意見を表明する一方、野党側は市長の行動が議会軽視であると主張した。
この背景には、かつて豊見城市が多数野党の議会体制を持つ際に、ファシリテーションが行われることなく、無条件で議案が通過していたという歴史がある。議会運営委員会で議長や委員長が行政に対し厳しい姿勢で臨む一方、前回の市議会より、自らの意見が軽視されることへの反発も相まって、議会側の態度はより厳しくなっている。
また、会議では公営住宅の入居に関する保証人制度が取り上げられた。特に生活困窮者にとって、保証人を持たないことが賃貸住宅への入居を阻む大きな要因となっている。この意見書を背景に、保証人なしでの公営住宅への入居を求める声が上がっており、今後の議論が期待される。
一方、本土と沖縄の医療格差の是正を目的とした請願が審議され、こちらも多くの意見が出された。市民の健康に関わる重要な施策として、医療環境の向上が求められ、市長は精力的に取り組んでいく意向を示した。
議案第6号から第7号までの水道事業会計予算に関しては異議なく承認され、翌年度へ向けての持続的運営が期待される中、安全で信頼できる水道事業の確立が求められる。
議会の決議案第1号では、山川市長への抗議決議が強く支持され、議会と執行部との信頼関係の改善が今後の重要な課題とされている。議会は、長と市民との信頼関係を確立し、透明性のある運営を心がけることが求められる。