令和元年12月11日、大子町議会では、台風19号による甚大な被害を受けた地域の復旧に向けた議論が行われた。
議事の中で、藤田稔議員は今回の台風による被災者への思いを述べるとともに、町の防災体制について質問を投げかけた。特に避難勧告等に関する判断基準の見直しを促し、町民の迅速な避難行動を確保する必要性を強調した。
総務課長の椎名信一氏は、今回の台風で記録的な豪雨が降り、広域で河川氾濫や土砂災害が発生したと述べた。避難勧告や指示の発令は行ったものの、多くの住民が避難しなかった事態を振り返り、今後は住民の防災意識の向上が不可欠であると語った。また、来年度には自主防災組織との意見交換を行う方針も示した。
さらに、台風19号の被害を受けた住民に対し、地域ごとの災害リスクを周知する重要性が指摘された。特に避難勧告の伝達方法を改善し、低地に住む住民への避難行動をより促す必要があるとした。
議会ではまた、安全な避難所の確保や、災害時の飲料水の備蓄に関する意見も出され、住民の生活再建支援についても言及された。福祉課長の神長敏氏は、在宅避難者の支援を進める方針を明言し、地域における心のケアの重要性を訴えた。
新庁舎の建設に関しては、庁舎の迅速な復旧と、今後の災害に強い防災体制を築くための議論も交わされた。高梨町長は、役場の機能を安全な場所に移すべきとの見解を示し、町のシンボルとしての役割も考慮した上で、様々な選択肢を検討する考えを述べた。
最後に、町民への周知や透明性の確保が、今後のまちづくりにおいて重要であるとの意見が述べられた。議会は今回の災害から得た教訓を基に、今後の防災対策を推進していくことを誓った。