令和4年第2回大子町議会定例会では、特区制度や農業振興に関する重要な議論が交わされた。特に、議員の菊池富也氏が町長に対し、構造改革特区の必要性を訴える場面が目立った。彼は「空き家や遊休農地の活用を通じ、容易な農地取得が新たな農業担い手の確保につながる」と強調した。
これに対し、農林課長兼農業委員会事務局長の矢田部信彦氏は、農地法に基づく許可取得の難しさを指摘した。大子町では50アールの下限面積が設けられているが、これを30アールに引き下げて運用していると説明した。「新規就農や移住者とのマッチングができるよう、柔軟に対応していきたい」と述べた。
進行役の町長、高梨哲彦氏も「特区制度や規制緩和は大変重要だ」と付け加え、町の農業振興のために各種施策を進める意義を確認した。一方で、慎重な姿勢を見せつつも、「新規事業者の持続可能性をしっかり見極めていく」と強調した。
次に、観光関連の施策についても議論が展開された。菊池氏は観光特区の設立を提案し、「多くの観光資源を生かした開発が可能になる」と期待を寄せた。観光商工課長の田那辺孝氏は、「自然環境を扱うエコツーリズムや観光整備の方向で、環境を守りつつ観光促進を図る」と発言した。彼は過去の成功例として、岐阜県の白川村のエコツーリズムを示し、大子町でも同様の取り組みが可能であると述べた。
また、本議会では大子町の文化財についても質問が上がった。この件は須藤明氏によって提起され、「文化財は町の歴史や文化を理解するために重要」と強調された。教育長の松本成夫氏が、指定のプロセスを説明し、地域資源としての活用を模索する必要性を認識すると共に、より広い視野での文化財の活用を求める意見が相次いだ。
町長は、茨城デスティネーションキャンペーンについて触れ、文化財の活用について地域の観光資源として積極的に取り入れていく意向を示した。今後、町民の意見を基に、文化財を広める施策の推進を検討していく。
このように、議会では地域振興に向けた多様な視点からの意見交換が行われ、特区制度の導入や農業振興策、観光の強化だけでなく、文化財の保護と活用が推進されていることが明らかとなった。