令和5年6月30日に開催された苫小牧市議会定例会では、重要な議案が多く審議され、全ての案件は可決された。
特に注目を集めたのは、苫小牧市個人番号の利用に関する条例の一部改正である。この改正は、行政手続で特定の個人を識別するための番号の利用を促進するもので、福祉部長の白川幸子氏が詳細を説明した。改正後は、生活保護法に基づく外国人への保護の決定などにも個人番号を使用できるようになる。制度の施行日は令和5年9月1日で、住民への影響が懸念されている。
また、苫小牧市税条例の一部改正も議題に上がった。財政部長の山口朋史氏は、森林環境税の導入に関する説明を行った。この法律は、国が定めた環境税が市民に影響を与えることを説明し、1人あたり年額1,000円が課税されることを明らかにした。現在の市道民税には影響はないと強調されており、安定した地方財源の確保が期待される。
次に、苫小牧市立病院事業に関連した条例改正も可決された。病院事務部長の佐々木薫氏は、医療需要や専門医の変化に合わせた診療科目の柔軟な変更を可能にする内容であり、患者サービス向上が目的であると述べた。
さらに、環境安全に関する議案も審議された。消防長の小野勝也氏は、苫小牧市火災予防条例の一部改正について説明し、急速充電設備に関する基準の見直しなどが行われることを示した。また、健康増進法に基づく喫煙所の標識設置も義務付けられる。
これら全ての案件において議員からの質疑はなく、原案通り可決される運びとなった。市民の生活や福祉に直結する条例の改正が行われる中で、今後の施行や周知活動が重要視されている。議長の藤田広美氏は会議の閉会を宣言し、市民への丁寧な情報提供を求めた。