令和元年10月28日に開催された第4回苫小牧市議会臨時会では、国際リゾート構想に関わる環境影響調査事業の補正予算が審議された。
議長の金澤俊氏は冒頭、先日発生した台風19号や大雨の被害者へ哀悼の意を表した後、会議は本議案を討議していくこととなった。
この補正予算案は、税額約1,798万6,000円の歳入増額を見込んでおり、苫小牧国際リゾート構想の一環として、IR立地の環境影響を具体的に調査することを目的としている。
環境衛生部の椿勇喜部長によると、今回の調査は、既往データの収集を基に、動植物、地下水分布、水質等を把握し、今後想定される開発に伴い、自然環境に与える影響を予測することを重視しているとのことだ。
これに対し、議員から幅広い質問が寄せられた。特に、地域住民の不安を払拭するためには、市民理解を深める必要があり、議会外でも話し合いを重ね、市民の声を反映させるべきとの意見が多く出された。
一部議員は、既に報告された環境影響調査データが古く、そのため政策判断の必要性が欠如していると指摘した。
松井雅宏議員は、国際リゾートエリアの概要を明確に示しないまま予算案を通すことには疑問を呈した。松井議員は、「調査項目の詳細は未確定で、多くのデータが未収集のまま進行している。このままの進行では不透明であり、慎重に進める必要がある」と強調した。
市長の岩倉博文氏は、この調査が苫小牧市のさらなる経済発展に貢献するとしつつ、環境保全に十分配慮する旨の方針を述べたが、議員からは「市民理解の不十分さを解決するための努力が不透明ではないか」との指摘が次々と上がった。
多くの議員は、IRが実現した場合の地域社会への影響、特に経済効果や依存症の増加に伴う治安問題について懸念を示した。
討論の結果、補正予算案は賛成多数で可決。議会からは環境影響調査を今後も継続し、市民への説明を徹底することが求められた。今後、苫小牧市が進めるIR事業の行く先が注視される。