我孫子市で開催された令和元年12月市議会定例会において、市政や新型コロナウイルスの影響を受けた防災体制についてさまざまな議論が交わされた。特に注目されたのは、市民の防災意識の向上とそれに向けた具体的な施策です。
まず、戸田智恵子議員は、市民が防災行政無線に対する不満を抱えている実情を指摘し、強調した。「防災行政無線は聞こえないことが多く、正確な情報が伝わらない」と発言し、今後は市民が容易に情報を得られる手段の確保が必要だと述べた。これに対して柏木幸昌市民生活部長は、「災害時には複数の情報伝達手段を用意している」と回答したが、現状の問題に対する具体的な改善計画は見えないままだった。
次に、災害時のペットの扱いについても話題となった。戸田議員は「ペット同行避難について、地域全体での対策が必要」と主張し、ペット同行避難計画のさらなる周知が求められると強調した。市もペット同伴で避難可能な施設の拡充を進めているが、ペットを飼っていない住民への理解促進や情報提供が不十分とも指摘された。
さらに、内田美恵子議員が発言した学校施設の見直しについても注目を集めた。学校施設の適正規模の見直しを進める過程で、教育環境を第一に考慮せずに経費削減を優先する懸念が示された。「学校は子供たちの未来に関わるため、まず子どもたちの教育環境をどうするのかを考えるべき」との意見が出て、教育委員会にも再度その重要性が認識された。
また、災害時の情報収集力を高めるために、広報や情報発信の手法を見直す必要性も言及された。特に「#我孫子市災害」といったハッシュタグの利用により、市民同士で情報共有が促進される可能性があるとの提案がなされたが、その実践には課題も多いようである。
防災という切り口で議論が続く中、さらに重要視されているのは、避難所開設時に提供される情報の質と、避難所運営訓練の実効性である。今後の議会において、これらの実施状況を市民からヒアリングしながらの検討が望まれる。
また、避難所運営の一環としてのペットの収容能力の確保についても、今後の課題として浮き彫りにされた。市はこれに対する準備を進めているとしながらも、具体的な施策には時間が必要であるとのことだった。