令和2年9月7日の鶴岡市議会では、日帰り温泉施設に関する事業が議題に上がり、その運営状況が詳細に議論された。
小野由夫議員は地域の温泉施設について質疑を行い、特に日帰り温泉の存続に強い思いを示した。これらの施設は、町の観光促進や地域活性化の要旨で、現在3施設が市の委託のもとで運営している。「日帰り入浴事業は、現在の経営状況を鑑みると困難な状況にあると考えるが、その一方で地域住民の思い入れが強いため、存続策を考えなければならない」と述べ、事業の見直しを求めた。
商工観光部長の佐藤正胤氏は、温泉施設の経営実態について答弁し、特に藤島の長沼温泉は過去に年間20万人の利用者があったが、近年は利用者が減少している現状を明かした。加えて、収入の減少が続く中で市が支出した金額も明らかにされ、特に修繕費などで市から年間約2,270万円が支出されていることが示された。「今後、地域住民の要望に応えながら存続策を探る必要がある」と強調した。
次に、豪雨災害に関する雨水対策も議論の焦点となった。議員らは、この段階での雨水対策の実施状況や、今後の対応について多くの疑問を投げかけた。市の建設部長は、豪雨による内水氾濫の発生した場所、特に切添町などの排水路の構造上の課題について触れ、地域社会における排水と治水の状況は改善を要するとの認識を示した。議員からは、さらなる内水対策とともに河川の浸水対策に対する情報提供が必要であるとの声が上がった。
最後に、風力発電事業についての質疑もあり、議員たちは地域の景観や環境への影響を懸念した。市民の間では、開発の影響や、地域のアイデンティティが失われるのではないかとの不安が広がっている。市は今後、各種タスクフォースを立ち上げ、風力発電事業の影響評価と調整を進めていく考えを示した。市長は「市民の声を重視し、事業者との交渉に真摯に取り組む」と強調した。
これらの議論を通じて、鶴岡市は地域の課題への対応策を模索し、温泉施設の存続や水害対策の強化を図る意欲を示した。市民との協働による持続可能な地域作りが求められている。