令和5年9月27日の定例会において、福島原発からの処理汚染水の海洋放出に関する請願が審議された。請願内容は東京電力の海洋放出を即時中止するよう求めるもので、議論が白熱した。
最初に、総務常任委員長の佐藤昌哉議員が請願の概要を説明した。請願は、政府が福島第一原発の処理水を海洋放出する決定をしたことを受け、放出の問題点を五つ挙げている。言及された一つ目は関係者の理解を得ていないことであり、これは政府の約束を無視しているとされた。
次に、放出される放射性物質の総量が不明であるという指摘があった。これは東京電力がトリチウム以外の放射性物質の総量を示していないことが問題とされ、環境省のモニタリング体制にも疑問が呈されている。
三つ目に、海洋放出の計画が表面的であり、代替案の検討が不十分であるとの意見も出された。原子力市民委員会が提案したタンク貯留案やモルタル固化処分案は、政府からの真剣な検討がなされていないと厳しい批判がなされた。
また、風評加害という口封じが行われているとも強調された。関係者による意見交換を経ず、安易に海洋放出を決定することが、民主主義を脅かす行為であるとされている。
この議論を受けて、賛成派と反対派それぞれの意見が交わされた。賛成派の長谷川剛議員は、海洋放出が漁業者の生計を脅かすものであると述べ、東京電力と政府の誠意ある説明を求めた。また、草島進一議員も福島の漁業者の理解を得ない放出が続くことに強い不満を表明した。
一方、反対派の佐藤博幸議員は、放出の必要性を訴え、たとえ否定的な見解が多くても、政府が説明責任を果たしていることに触れた。小野由夫議員は、処理水と汚染水の区別が重要であると述べ、科学的根拠に基づく支持を求めた。
最終的に採決が行われ、請願は賛成少数で不採択となった。議長の本間新兵衛議員は、今後も引き続き問題解決に向けた議論が必要であるとの見解を述べた。