令和4年12月に開催された川口市議会では、多様な市政課題に関する質疑が行われた。
特に注目されたのは、水道料金に関する議論である。若谷正巳議員は、市内の水道事業について、市民に対する料金負担の軽減を求めた。このご時世、物価高騰が続いており、「水は人間の生活に欠かせないものである。料金引き下げを早急に行うべき」と強調した。
発言に対し、奥ノ木信夫市長は「現在の水道料金制度は独立採算可能で、安全で清潔な水道水を供給するためにも必要不可欠である。」と答弁した。そのため、安易な料金引き下げは難しいとの見解を示したが、市民の負担を考慮し、今後も効果的で持続可能な水道事業運営を推進する方針を述べた。
また、同議員は低所得世帯への水道料金減額制度の創設を提案し、「多くの市民が利用しやすい制度を設けるべき」と訴えた。市は、現行制度が一度の利用に制限されているため、利用促進にも配慮が必要との立場を示したが、恒常的な減額制度は難しいとのこと。
さらに、交通の問題も多く取り上げられた。議員は、特に高齢者向けの「ドア・ツー・ドア」デマンド交通について「導入を検討すべき」と意見を述べ、具体的な事例も挙げた。
また、地域自治区制度の導入の必要性も指摘された。金子幸弘議員は、川口市の基盤である地域住民の声を反映するためには、地域分権の強化が欠かせないと主張した。地方自治法に基づく地域自治区制度は、住民の意見を市政に生かす手段として機能すると期待されており、市民の意識を高めるためにも、その仕組みを進めるべきであるとの意見に多くの支持が集まった。
このように、議会では市民生活に密接に関連する問題が多岐にわたって討論された。特に、生活困窮者や高齢者への支援の強化や交通の利便性向上、さらには地域の特色を生かすための取り組みの重要性が再確認された。市民の声を反映しながら、川口市の発展に向けた市政を進める必要性が訴えられている。
引き続き、具体的な施策として水道事業の改善や地域活性化に向けた指導を進めること、また高齢者や生活困窮者への支援策を強化することが求められている。今後の動きが注目される。