紫波町の令和5年9月定例会において、高齢者福祉に関する質疑が行われた。特に、地域包括ケアシステムの進展状況とその課題についての議論が中心となった。
熊谷泉町長は、地域包括ケアシステムが推進されてきた成果として、医療や介護、生活支援、住環境など、複数の側面から高齢者を支える体制が整いつつあることを示した。具体的には、地域の医療機関、介護事業者、民生委員との連携が進んでおり、高齢者に対する支援が強化されていることが強調された。
しかし、課題としては、地域コミュニティ機能の低下により住民同士のつながりが弱まっている点が挙げられた。町は、地域の交流を促進し、顔の見える関係性を築くための取り組みを重要視している。また、多職種連携を強化し、医療と介護のサービスが切れ目なく提供される環境を整える方針だ。具体的な取り組みとして、生活支援コーディネーターの配置といった支え合いの体制を構築することで、高齢者の孤立を防ぐ努力が続けられている。
さらに、地域での孤立を防ぐための緊急通報装置について、町側の取り組みが報告された。設置条件として病歴がある高齢者や近隣に扶養者がいない人が対象となるが、今年度はさらに多くの高齢者に対象を広げる予定がある。生活部長は、地域のネットワークを活用し、孤立防止策を引き続き重視していく考えを示した。
阿部秀一議員は、地域の高齢者が孤立しないようにするための重要性を訴えた。特に、地域コミュニティの構築や、近所付き合いの重要性を強調し、生活支援コーディネーターとの連携を強化する必要性を提起した。